夏休みに入る前の、終業式の日、悪女は自宅に戻ってきた。戻ってきて最初にしたことが、お道具箱を洗うこと。ともすれば、夏休み明けの新学期の前の日にでもいいことなのに。
丁寧に生きているなあと思った。
最近、取材をしていてこの「丁寧に生きている人」を憧れている。素敵な暮らしではなく、丁寧に、だ。例えば手土産にはかわいらしい空袋を使う、とか。ささいなことだけど、ささいなことができないことがある。丁寧な人を見ると、自分の毎日を振り返るし、出来ていないことに、落ち込むことも多い。
悪女は続けて、クーピーを一本一本長さを確かめて、丸い物は鉛筆削りで削り、下じきはきれいに洗って干していた。ただのきれい好き?かな。小さなことだけど、言われなくても気づいて自分で進むってすごいね。