講演メモ 永山祐子「建築というきっかけ」@福井工業大学

建築家、永山祐子さんの「建築というきっかけ」講演を聞いてきました。

前半の話 東京のど真ん中に建てた家について

家の中にいるけれども外を感じるような設計
縦長の空間閉じながらも開く、空に向けてひらいていく空間。
行けそうで行けない間を作る。フレキシブルにしない空間。
入れない庭を作る。届かない場所があり、そこに想いをはせるように。禅寺の庭は足を踏み入れることはできないが、そこに心を持っていくことはできる。

お話を聞いて、宇宙空間や空間の哲学を住宅に反映させているようだと感じました。縦長の土地と両側の住宅を気にしながら建てるのはなかなか難しいと思います。しかし制約があるから作られる、課題が見えるから解決法が見えるといいます。永山さんは解決に導くプロセスを言葉と絵と建築にすることができる方だと十分に感じました。

永山さんの作った家がどうこうというわけではないのですが、私はガラス張りの家の天井を見上げて蜘蛛の巣がかかっているのを取材先でよくみるので、ガラス張りにはあまり良しと思っていません。どうやって掃除したらいいのやら。
またスライドでは、施工完成写真であり、実際に家具などが入っていないので、生活を想像することができませんでした。住まいではなく暮らしの様子を見たかったな。

後半の話 小淵沢のホール

アルソアからの依頼。本社はマリオ・ベリーニ設計。
森の小道からそのままホールへ入るような流れにした。
森の中にコンクリートが入ると違和感がある。大きな存在感になってしまう。回避したい。
そのため素材に肌理を与えるように考えた。
森綾 というテキスタイルデザイン。外装、内装にも転用した。
外構について 森を再編集する。草花を植栽する。
俯瞰した世界を消すためのシェード。ホールのボリュームを消す。日本建築の特徴を入れる。

動線と演出を考えていること、森を再編集するという言葉にびっくり。もともと生息していた植物を色分けして、建物の内側から見える世界をもコントロールしていること。俯瞰の視線を遮断する仕掛けにもそこに「考えがあって」のことなので納得できました。ってなんだかクライアント気分だったり。
森綾のモチーフと転用についてもっとお聞きしたかったです。

豊島横尾館、宇和島の木屋旅館

赤いフィルター。受験の赤い下敷きのようなもの。一度視覚と色をリセットする。
日常と非日常の間、生死の境界線を意識。
横尾忠則の美術館は、青木淳、村野藤吾、永山祐子の3人の建築家がこれまでそれぞれ手掛けている。
豊島のものは床面がガラス(鏡)、反射して作品が映る空間。

赤のフィルターは演出ではなく、リセットさせるものだったとは。

福武さんに作品を買ってもらうために、スカイザバスハウスで福武さん(に買ってもらうために)展示をして、見事に買ってもらったそうです。

永山さんが作った模型を見て、横尾さんが制作した画がありました。模型をもとに横尾さんはこのように見えているんだなあと三次元から二次元を考えるきっかけになりました。ふむふむ。

宇和島の木屋旅館

引くことで足される価値。シェードを下ろすをあんどんになる。
束芋、ほしよりこの展覧会を行う。
そういえば、ここは宇和島アートのところでした。

講演後、私が質問したのは2点。

1点は、青木淳さんの建築事務所を選んだ理由。
永山さんは、青木さんのインタビューや考えを聞いてみて、建築をこれまでの建築家とは違う言葉と観点で話をしているところに惹かれたそうです。青木淳さんは美術展で目にすることが多いお名前だったので「え、建築家だったの?」とあとで気づきました。愛知トリエンナーレ2013年の名古屋市美術館で披露していましたね、青木さん。コンセプチュアルすぎてついていけなかった記憶あり。

2つ目は、木屋旅館のリフォームがあってから宇和島アート2013だったのか、アート展が前提だったのか。
お答えは、リフォームが先。街のシンボルや記憶の集約ともいえる旅館をリノベーションして、街のひとたちの気持ちをつなげようとしたのではないでしょうか。永山さんはそこから先の絆としてアートイベントが有効だと考えていたようです。作家選出も絶妙ですね、束芋とほりよりこさんとは。福武さんからの援助をいただいて実現したそうです。

講演後のFBなど感想披露では、永山さんの「言葉の選び方」に感服したコメントが多くありました。
永山さんが持つ空気と声のトーン、そして自身の考えを言葉にして話せる力。引き寄せられました。
同時に、考えを言葉にすることの大切さをもっと意識していきたいと思いました。

上記で掲載した建築物は、永山さんのホームページに掲載されています。
http://www.yukonagayama.co.jp/

ART|宇和島を舞台にしたアートプロジェクト『AT ART UWAJIMA 2013』
http://openers.jp/article/18714

宇和島で新アートプロジェクト始動、永山祐子とほしよりこ、束芋のトリプルコラボも
http://www.fashion-headline.com/article/2013/06/12/2091.html

 

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