【講演感想】テロワールを (風土)生かす道 大沢晴美さんの話

パリの商工会議所は食で世界を覆うことを、戦略的に考えていました。
つまり「フランス料理を世界へ広める」ミッションを持って海外活動をしていたのです。
広めるためには「人」と考えたパリ商工会議所は、世界中から人を呼びます。それはシェフの卵でした。
日本でフランス料理を作る人、フランスの食材を使う日本人を育成しよう!と狙いがあったのです。

1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博、このときから影ミッションをはじまっていました。
村上信夫シェフはもとよりアンドレ・パッション氏は万博で「レストラン・デュ・カナダ」のシェフをつとめ、日本におけるフレンチレストランの草分けの存在に。
石鍋氏、三国氏、をフランスへ呼び、勉強させて、帰国させてフランス料理を広める役に回ってもらおうとしたそうです。彼らはクラブ・デトラントゥ(30代の会)と呼ばれました。このあたりのくだりはもう少し聞きたかった。

フランス料理には「基本で変えてはいけないこと」「ここからは変えていいところ」があるそうです。
ここがしっかりしないと単なるブームで終わってしまう!と考えたフランスは、日本に戻ったシェフに対しても支援を惜しまず、パリから先生を呼び、講習会を開くよう促したようです(その費用はおそらくパリ商工会議所が負担)。

フランスは国家資格の国。資格があると最低賃金が保証される。

ゲラントの塩と塩田の話は失念。

プロが使う食材は、そのうち一般人が使うようになる。

ワインがコンビニでも買える時代になりましたが、それもパリの商工会議所の長年の努力よるもの。どれだけ力持ってんだ、本気度たけえ!の商工会議所。この戦略は20年30年単位で考えていたそうです。世界へ波及するにはそれだけ時間が必要なことも分かっていたってことでしょうか。

さらにパリ商工会議所が考えたのは
・プロを育成すること
・海外に、食品輸入を促すこと でした
そのための安全基準を作ることに手を付けました。
地理的表示を知的財産として考えること
原産地呼称制度(AOC AOP)
ワインの品質を保つため、地域、品種、生産量、最低アルコール度数を決めた法律ができました。
格付けをすることで
・生産者は市場に高く売ることができる
・消費者は目安を知り安全な食品を手に入れることができる

格付けが地方再生になった事例もあります。

レジス・エ・マルコン
ミシュランで三ツ星、世界4位の店です。キノコがおいしいレストラン。
13キロ平方メートルの中に人口が260人の街にあります。
大沢さんはこちらの息子ジャックさんと知り合いで、福井に連れてこられました。開花亭でイベントしていましたね。
その土地で栽培されたレンズ豆がAOCを獲得し、農家が生計を立てられるまでになりました。
生産者と提供側がタッグを組むことが大事。レストランが繁盛すると、人を雇い、街に人が集まり、人が住み、その人たちのためにまた職ができるという循環でした。

あと詳しくは忘れたけどキーワード

フランスは国家資格の国。資格があると最低賃金が保証される。

ゲラントの塩と塩田の話は失念。

プロが使う食材は、そのうち一般人が使うようになる。

ミクロクリナー(微小気候)

まずは、今私がフレンチを食べたり、ワインを飲んだりできるのは、50年前のパリ商工会議所の力があったからだと知り、驚きでおののいています。食料自給率が高く、かつ海外への輸出も高い国。一時的なモノやブームに頼らず「人を育てる」という意識を持っていたことも勉強になりました。

食文化、といってもただ食べておいしいではない、政策や戦略や狙いがないとなんですね。伝統食はほおっておけば無くなってしまいます。フランスに少しは学ぶことがあるのでは…と思わずにいられません。

平成29年3月17日 武生商工会議所にて

大沢晴美さん
越前市出身
オオサワ取締役・㈱オフィス
フランス料理文化センター親善大使
日本編纂委員 レストラン 1000 世界 Liste La
フランス農事功労章受章者協会事務局長

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